本記事では、「株式投資における信用取引」をテーマにメリット、デメリットを解説します。
信用取引は、顧客が委託保証金を証券会社に担保として預託し、資金を借りて売買を行う取引手法です。
自己資金の最大3.3倍まで取引が可能であり、資金が少ない投資家に嬉しい手法と言えます。
一方、信用取引に対して「やめとけ」、「やばい」など酷評する声が存在するのも事実です。
このため、信用取引に関してメリットだけでなく、本記事を参考にデメリットについてもチェックしておきましょう。
①信用取引は自身の担保を元にレバレッジ取引が可能
②保証金の約3.3倍まで取引できる
③売り取引ができるのも信用取引の強み
④但し、信用取引は「最悪借金になる」、「長期投資に不向き」など課題が存在
⑤本記事の注意点もしっかりとチェックしよう
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「信用取引」とは?
まずは、信用取引の基本について確認しましょう。
自分の資産や株券を「担保」に、レバレッジをかけて売買する取引
保証金に対して、約3.3倍取引ができるため少額の資金を効率よく投資をしたい方におすすめの制度と言えます。
一方、レバレッジ取引はリターンと同様に損失額も大きくなるため、すべての方におすすめできる投資手法とは言えません。
また、現物取引であれば株を購入することで企業の株主となります。
信用取引の場合、自身の資産を担保に証券会社より株を借りている状態であるため株主ではありません。
この点も、現物と信用の大きな違いと言えるでしょう。
【補足】信用取引の目的
信用取引には売買高を上げるという目的がある
信用取引制度により、市場への参加者を増加させ株式の流動性を高めることが目的。
流動性が少なくなると僅かな売買高でも株価が大きく動いてしまうため、取引の安定性図るために導入されています。
株式投資における知識の1つとして理解しておきましょう。
「信用取引」4つのポイント(メリット)
続いて、信用取引のメリットを抑えておきましょう。
①保証金の「最大3.3倍」取引が可能
信用取引は、保証金の「最大3.3倍」まで取引が可能です。
例:資産100万円の場合⇒最大330万円分
少ない資金で効率良く投資が出来る点はメリットと言えるでしょう。
②売り取引が可能
株式投資は「買い」取引を行うことが一般的です。
但し、相場全体が下落している市況の際、買い取引だけでは利益を上げることができません。
信用取引は売り取引に対応しており、相場下落時も収益を上げることができる
市況に左右されずエントリーができるのは信用取引の強みと言えるでしょう。
③取引手数料が安い
大手ネット証券では、信用取引における手数料無料を発表しています。
(参考)SBI証券手数料
現物取引も無料であるため、信用取引だけの制度ではありませんが投資家にとって嬉しいサービスと言えるでしょう。
④審査がある
信用取引を行うには、証券会社の審査を受ける必要があります。
一般的には「年齢」、「資産」、「投資経験」などで合否が決定。
また、最低委託保証金として30万円以上証券口座へ入金をする必要があります。
このため、30万円未満の資金では信用取引が出来ない点は注意しましょう。
【危険】「信用取引やめとけ」と言われる5つのデメリット
信用取引のデメリットは以下の通りです。
デメリット①借金になる可能性がある
信用取引は、資産以上にマイナスとなり最悪借金になる可能性があります。
資産30万円で約100万円の株式を購入
1週間後50万円まで評価額が減少
上記の場合、資産30万円に対して損失50万が発生するため、証券会社に不足分を返却する必要があります。
元本以上にマイナスとなり借金となる可能性がある点は十分注意しましょう。
投資家保護を目的に、保有資産を下回る前に強制決済が行われる
但し、株式投資では「いつ何があるか分からない」というリスクがある
- 大震災による災害リスク
- 企業の不祥事
- ウイルスの感染拡大
など、「買い手が付かず売りたくても売れない」場面では多額の借金となる
信用取引の大きなリスクであるため、理解をした上で制度を活用しましょう。
デメリット②長期投資には向かない
現物取引であれば、含み損でも配当金を受け取りながら株価の回復を待つことができます。
一方、レバレッジを掛けた信用取引は、証拠金維持率により強制決済が行われるため長期投資に不向きです。
また、売り取引の場合特に注意が必要です。
- 買い取引:最悪株価は0円
- 売り取引:株価上昇は無限大、命まで奪われる
信用取引は、頻繁に株価チェックが必要なため、取引に対するストレスがあり長期投資には向きません。
制度を利用する際は短期売買をメインに利用するのが良いでしょう。
デメリット③金利が発生する
信用取引は「金利」、「貸株料」が発生します。
- 買い取引:金利
- 売り取引:貸株料
制度信用取引 | 年2.80% 優遇金利 2.28% |
---|---|
一般信用取引「無期限」 | 年2.80% 優遇金利 2.10% |
一般信用取引「いちにち信用」 | 年1.80%(100万円未満) 年0.00%(100万円以上) |
(例)年利2.80%、制度信用で6ヶ月保有していた場合
- 100万円:1.4万円
- 1,000万円:14万円
保有をするだけで手数料が必要であるため、信用取引はデイトレードなど短期売買に利用されることが一般的。
金利、貸株料が発生する点も長期投資に不向きと言われるポイントです。
デメリット④信用売りは「配当落調整金」が必要
信用取引は保証金を証券会社に預け、株式を借りている状況です。
このため、投資家本人が株式を保有しておらず所有者は証券会社となります。
買い取引の場合「配当落調整金」として、信用取引でも証券会社より配当金を受け取ることが可能
一方、売り取引の場合証券会社に配当落調整金を支払う必要がある
「権利付最終日の大引けの時点で売り建玉を保有していること」が条件のため、権利前の取引には十分注意しましょう。
デメリット⑤株主優待は貰えない
信用取引で購入した場合、株主は証券会社となります。
このため、日本独自の制度である株主優待を受け取ることができません。
信用取引は、「短期売買用」としてキャピタルゲイン(売買益)を狙う制度として活用するのが良いでしょう。
「信用取引」を始める方におすすめな5つの対策
信用取引を始める方におすすめの対策は以下の通りです。
- 余裕資金で信用取引を行う
- 保証金の限界まで投資をしない
- 現引きを活用する
- 損切りラインを事前に設定
- テクニカル分析を勉強する
順番に解説します。
対策①余裕資金で信用取引を行う
信用取引はリスクが高い投資手法です。
一方、信用取引を活用して効率良く利益を上げている投資家がいるのも事実であるため、性格やスキルに大きく左右される取引手法と言えるでしょう。
このため、「最悪0円になってもやり直しができる」ぐらいの余裕資金で信用取引を体験するのがおすすめです。
対策②保証金の限界まで投資をしない
信用取引は最大3.3倍まで投資をすることが可能です。
但し、最大までレバレッジを効かせた場合、証拠金維持率を下回り追証となるリスクが高まります。
維持率が20%を割り込むと追証が発生
このため、自身が持っている保証額の1.5倍程度に留めるようにしましょう。
対策③現引きを活用する
反対売買により決済をするのではなく、自分の手元にある現金で株式を引き取ることを「現引き」と言う(品受けとも呼ばれる)
信用取引は「金利が掛かる」、「株主優待が貰えない」などデメリットが存在します。
このため、長期保有をする場合「現引き」を活用し、株式を引き取ることも検討しましょう。
対策④損切りラインを事前に設定
信用取引を行う場合、注文と同時に逆指値注文をするようにしましょう。
(参考)逆指値注文の仕組み│楽天証券
逆指値を設定することで、損失が限定される点は強み
いざ「損切をしよう」と思っても、損失を確定させる行為はストレスが掛かる
このため、感情を入れずに損切りができるよう逆指値注文を忘れずに行うようにしよう
損切ラインを考えるポイントとして以下記事もおすすめです。
対策⑤テクニカル分析を勉強する
信用取引は短期売買がメインであるため、テクニカル分析の活用も大切です。
テクニカル分析には様々な種類があるため、あなたと相性の良い分析方法を活用しましょう。
- 移動平均線
- 移動平均乖離率
- ローソク足
- ポリンジャーバンド
- 一目均衡表
あまり多くの指標を活用せず代表的なもので練習するのがおすすめです。
銘柄購入前にアプリで財務分析を実施しよう
信用取引を活用して銘柄を購入する場合、財務分析やテクニカル分析をするのが大切です。
但し、「分析のやり方が分からない・・・」という方も少なくないでしょう。
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信用取引メリット、デメリット【まとめ】
本記事では「信用取引」をテーマにメリット、デメリットを解説しました。
信用取引にはデメリットがあるも「効率よく投資できる」、「売り取引ができる」など魅力があります。
このため、リスク管理ができる投資家であれば活用価値があると言えるでしょう。
一方、信用取引を活用した「一発逆転を狙ったギャンブルトレード」はおすすめできません。
リスク許容度は投資家によって異なるため、「自身には信用取引が向いているのか?」をしっかりと考えた上で活用してみましょう。
以上、信用取引メリット、デメリットまとめでした。
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