本記事では「S&P500に100万円投資」をテーマに、過去の株価を元にリターンを解説します。
S&P500は「手数料の安さ」、「高いパフォーマンス」から多くの投資家から高い評価を受けている投資商品です。
特に直近10年のパフォーマンスが高く「あの時投資をしていれば・・・」と悔しい思いをしている方もいるのではないでしょうか。
一方、検証する期間によっては厳しい10年もあるため、複数の期間でパフォーマンスを確認することが大切です。
S&P500は高いパフォーマンスを実現
但し、あくまで過去のパフォーマンスであるため、参考情報として取扱いをしよう
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S&P500長期チャート
まずは、S&P500の長期チャートをチェックしてみましょう。
期間:1980年~2023年
長期に渡り右肩上がりのチャートを形成し、特に2010年以降高いパフォーマンスを上げているのが特徴です。
一方、2000年ITバブル崩壊以降、長期に渡り株価が低迷している期間があります。
このため、直近の10年だけでパフォーマンスを判断するのではなく、複数の期間で検証するのが良いでしょう。
ドル円長期チャート
S&P500のパフォーマンスを判断する場合、株価だけでなく為替の影響を考慮する必要があります。
期間:1980年~2024年
1985年の為替は235円と高い円安水準にありましたが、「プラザ合意」により急激な円高が発生。
1985年9月22日アメリカの貿易赤字解消に向け、協調的なドル安路線を図ることを目的とした合意
2011年10月31日には「75円32銭」の過去最大の円高が発生しています。
日本人の場合、円で資産を評価する必要があるため株価だけでなく為替影響も含めてパフォーマンスをチェックしましょう。
【検証】「S&P500に100万円投資」10年後いくらになる?
S&P500に100万投資した場合のパフォーマンスを、以下3つのパターンで検証します。
期間①2014年~2023年(直近10年)
S&P500直近10年は右肩上がりのチャートを形成。
2020年3月コロナショックが発生するも、金融緩和により短期間で株式市場は回復しています。
直近10年間のS&P500株価比較は以下の通りです。
株価 | 為替 | |
2014年1月 | 1785.01ポイント | 105.39円 |
2023年12月 | 4777.38ポイント | 141.83円 |
2014年1月に100万円を投資した場合、2023年12月に約360万円に増加
➤100万円×(4777.38ポイント÷1785.01ポイント)×(141.83円÷105.39円)=360万円
10年間S&P500を保有しているだけで、直近10年では3.6倍と高いパフォーマンスを実現しています。
投資家自身のリバランスは不要であり、手数料も0.1%以下と格安な点も魅力と言えるしょう。
期間②2008年~2017年(リーマンショック)
2008年9月リーマンブラザーズ破綻をきっかけに、リーマンショックが発生。
2008年1月1,407ポイント→2009年3月695ポイントと49%もの大暴落となっています。
こんな最悪なタイミングでS&P500を購入し、10年間放置した場合いくらになるのかをチェックしてみましょう。
株価 | 為替 | |
2008年1月 | 1407.37ポイント | 114.15円 |
2017年12月 | 2681.07ポイント | 113.00円 |
2008年1月に100万円を投資した場合、2017年12月に約188万円に増加
➤100万円×(2681.07ポイント÷1407.37ポイント)×(113.00円÷114.15円)=188万円
リーマンショック直前に100万円を投資した場合、一時的に半値になるも10年後1.8倍まで資産が増加しています。
厳しいタイミングでも高いリターンを実現している点は、S&P500へ投資をする魅力と言えるでしょう。
期間③2000年~2009年(ITバブル)
長期に渡り右肩上がりのチャートを形成しているS&P500も、株価が低迷している時期が存在。
2000年初頭から「ITバブル」により、長期渡り世界的不況に繋がっています。
このため、あえて最も厳しい期間でのシミュレーションもチェックしてみましょう。
株価 | 為替 | |
2000年1月 | 1411.61ポイント | 102.40円 |
2009年12月 | 1126.80ポイント | 92.10円 |
2000年1月に100万円を投資した場合、2009年12月に約72万円に減少
➤100万円×(1126.80ポイント÷1411.61ポイント)×(92.10円÷102.40円)=72万円
10年間長期保有をしても、大きく資産が減少しています。
最も厳しい時期を切り取ったシミュレーションですが、高いパフォーマンスを実現しているS&P500でも厳しい時期があった点は理解するべきポイントです。
「S&P500に100万円投資」5つのポイント
上記シミュレーションを元に注意するべき5つのポイントは以下の通りです。
①為替の影響に注意
S&P500は、米国企業へ投資を行うため為替の影響に注意しましょう。
- 1ドル:100円
- 1ドル:80円
では、同じ株価であっても損益は約20%異なります。
米ドル/円10年チャート(2014年~2024年)
過去10年で見ても高いボラティリティであり、為替により想定より含み益が減少する可能性があります。
S&P500(日本円)のチャートから分かるように、円換算で見るとパフォーマンスが大きく異なります。
このため、急激な円高が発生した場合株高を相殺してしまう場合がある点は注意が必要です。
②元本保証ではない
S&P500は金融商品であり、当然ながら元本保証ではありません。
長期に渡り高いパフォーマンスを上げているS&P500ですが、株価が低迷している時期があった点は再度理解しておきましょう。
特に、2010年以降右肩上がりのチャートを形成しており、誤解される点であるため注意が必要です。
過去の歴史を参考にすると、10年では安定しているとは言えず20年以上の保有を前提に考えるのが良いでしょう。
③現金と投資比率を意識
本記事のシミュレーションはあくまで過去のデータを活用した検証であり、将来的にS&P500が急落する可能性があります。
このため、株価上昇を過度に期待するのではなく、自身のリスク許容度に合った投資比率を考えることが大切です。
例:現金と投資比率を考える
年齢 | 株式 | 現金 |
20代 | 80% | 20% |
30代 | 70% | 30% |
40代 | 60% | 40% |
50代 | 50% | 50% |
60代 | 40% | 60% |
若年層ほど資金を稼ぐ期間が長くリスク度合いが高い
このため、年齢と現金比率を合わせる方法も検討しよう
一方、50代以降の方であれば現金比率にも意識する必要があります。
以下記事を参考に複数のポイントで現金比率を検討してみましょう。
④ドルコスト平均法を活用
安定した資産形成を行いたい場合、ドルコスト平均法の活用も検討しましょう。
株価が上下する投資商品を一定金額ずつ買い付ける方法
毎月一定額を積立した場合、株価に応じて購入株数に違いがでる
2000年以降の株価低迷時でも、株価が平準化されるため大きな損失になりづらい
一方、ドルコスト平均法にはデメリットもあるため以下記事も参考にしておきましょう。
⑤単年度で見ると大きな暴落が発生
1985年以降のショック相場は以下の通りです。
1日で10%を超える暴落も発生しています。
順位 | 日付 | 下落率 | 要因 |
1位 | 1987年10月19日 | ▲22.6% | ブラックマンデー |
2位 | 2020年3月16日 | ▲12.9% | コロナウイルス |
3位 | 1929年10月28日 | ▲12.8% | 世界恐慌 |
4位 | 1929年10月29日 | ▲11.7% | 世界恐慌 |
5位 | 2020年3月12日 | ▲9.99% | コロナウイルス |
単年度で見ると大きな暴落が発生しているため、長期目線で保有をするのが良いでしょう。
米国株式への投資をサポートするおすすめツール
S&P500を中心に、米国株へ投資をする方が増加しています。
一方、英語という壁があり米国株の情報収集に課題を感じている方も少なくないでしょう。
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「S&P500に100万円投資」気になる3つの質問
S&P500に関する気になる質問を集めました。
Q1.S&P500の買い時は?
S&P500の買い時を考える方法は様々ですが、VIX指数を活用する方法を解説します。
以下、「野村アセットマネジメント」が発表(期間:2009年~2021年)
VIX指数が25以上の場合「S&P500」及び「NASDAQ100」を購入すれば1年後100%株価が上昇
2009年以降のデータを調査した場合、VIX指数が25を超えた際の追加購入は1年後すべて買付株価を超えています。
市況が不安定な時に、VIX指数を参考に逆張り投資をするのもおすすめです。
但し、あくまで過去12年の歴史による統計であり、今後も確実に上昇する保証はないため十分注意しましょう。
Q2.S&P500だけに投資をするのはありか?
米国を代表する500社への分散投資であり、高いパフォーマンスを上げています。
また、米国企業はグローバルな展開をしており「結果的として世界に投資をしている」と考えることができると言えるでしょう。
一方、投資国によって好不調が発生する点は課題です。
例:2021年の新興国とS&P500のパフォーマンス比較
赤:S&P500、青:新興国
長期的な推移でみると「S&P500」がパフォーマンスとして優秀。
但し、投資時期によっては新興国の方がパフォーマンスが高い場合があります。
すべてのシーンに対応したい方は、全世界株式を購入するのも検討してみましょう。
Q3.S&P500はどの銘柄を購入すれば良いか?
S&P500に関連する投資信託は多数存在します。
結論、「eMAXIS Slimシリーズ」、「SBIV・シリーズ」が手数料の点で優位です。
詳細は以下記事を参考にしてみましょう。
「S&P500に100万円投資」10年後いくらになる?【まとめ】
本記事では「S&P500に100万円投資」をテーマに10年後の期待リターンを解説しました。
期間 | 10年後の資産 |
---|---|
2014年~2023年(直近10年) | 100万→360万 |
2008年~2017年(リーマンショック) | 100万→188万 |
2000年~2009年(ITバブル) | 100万→72万 |
S&P500直近10年は高いパフォーマンスを上げています。
一方、ITバブル期の株価低迷には注意が必要と言えるでしょう。
このため、「20年以上の保有を前提にする」、「ドルコスト平均法」を活用するのがおすすめです。
以上、「S&P500に100万円10年シミュレーション」まとめでした。
【関連記事】米国株取引に最適な投資アプリをまとめています。
【関連記事】S&P500PER推移の調べ方を解説しています。
【関連記事】S&P500と全世界株式を同時に購入する場合の注意点を解説しています。